第78期名人戦七番勝負第5局

将棋

豊島将之名人に渡辺明二冠が挑戦する第78期名人戦七番勝負は、第5局が8月7・8日(金・土)に東京・将棋会館で行われ、渡辺二冠が豊島名人を128手で破り、七番勝負の成績を3勝2敗としました。
※日本将棋連盟WEBページより引用

棋譜解析結果

開始日時:2020/08/07 9:00:00
終了日時:2020/08/08 20:30:00
棋戦:名人戦
場所:東京・将棋会館
持ち時間:9時間
消費時間:128▲537△523
先手:豊島将之 名人
後手:渡辺 明 二冠
戦型:その他の戦型

 後手渡辺明二冠の注文で陽動振り飛車の力戦系へ。序盤から先手豊島名人がリードを広げるがミスが出て互角の状態が長く続く。その後、また先手がリードをしたが連続で間違えて一気に逆転。後手渡辺二冠が勝ち切った。

局面図

57手目▲7四歩

 56手目△4二飛と飛車が回った局面。序盤から後手渡辺二冠が工夫するも先手豊島名人がリード。この時点で評価値は先手+610と先手有利。本譜はここで、▲7四歩と指したがこれが疑問手で先手+91と互角になった。ソフトの推奨手順は、▲7四桂打△5二金(41)▲3四歩(35)だった。

73手目▲7六歩

 72手目△9二飛と飛車が逃げた局面。57手目以降は多少の変化はあるがお互い均衡を保ちこの局面での評価値は後手+40と互角のまま。ここで先手は▲7六歩。ABEMAの解説陣もその前に△5四角と打つところで△7六角もあったと見ておりこの手には首を傾げていた。ソフトの評価も悪く評価値は後手+450とここで初めて後手有利になった。この局面でのソフトの読み筋は▲8四銀(73)△8六金(75)▲同歩(87)△6四桂打▲4四金打だった。

76手目△6六金

 75手目▲8八金の局面。評価値は後手+502で後手有利のまま。ここで、後手の△6六金が解説陣もおどろくかっこいい手。ソフト推奨手の△4八歩に対して、評価値は後手+408と若干下がったが後手有利を保っており悪くはない一手。先手はその後▲5八銀とソフト読み筋どおり指しておりタダの金は取れず後手の主張は通った状況。

84手目△8五歩

 83手目△7四桂とつなげて打ったところ。評価値は若干の変化はあるものの後手+434と後手有利が続いている局面。ソフト読み筋は△5六金(66)▲同歩(57)△4二玉(51)▲7七金(88)△3二角(76)と一旦局面を落ち着かせてリードを保つ手順なのに対し本譜は△8五歩。この手が疑問手で評価値は先手+305となり逆転。先手有利となった。

95手目▲8一飛成

 94手目△7三玉と▲8二飛に対してかわした局面。評価値は先手+194と先手やや有利のまま。この局面でのソフト推奨手は▲8六飛成なのに対して本譜は▲8一飛成。この手は疑問手で評価値は後手+390となりまたまた逆転して後手有利となった。

99手目▲6一龍

 ▲8一飛成以降は、△8二銀打▲8五桂打△8三玉とソフト読み筋どおり進んだ局面。評価値は後手+476と後手有利。ここでのソフト推奨手は▲8六歩であるが、本譜は▲6一龍。この手が悪かったようで評価値は後手+1,404となりリードが広がり後手優勢となった。

101手目▲6三龍

△8三玉の次にソフト読み筋どおり100手目△8七歩成とした局面。ここでの評価値は後手+1,467で後手優勢のまま。ソフト読み筋は▲5八玉△8八と▲6四龍△7四金▲5三龍△8四玉。本譜は▲6三龍(表紙の図)と指したがこれが連続の悪手であったもよう。評価値は後手+2,225となり後手勝勢となった。その後、差は縮まらず後手渡辺二冠が押し切った。この一手が敗着となった。

 渡辺二冠、豊島名人共に控室の予想外な着手を連発させた勝負であったが、人類最強の渡辺二冠が勝利し名人に王手をかけました。

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