第79期名人戦七番勝負第3局

将棋

 渡辺明名人に斎藤慎太郎八段が挑戦する、第79期名人戦七番勝負第3局が、5月4・5日(火・水)に愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」にて行われ、渡辺名人が94手で斎藤八段に勝ち、渡辺名人の2勝1敗としました。
※日本将棋連盟WEBページより引用譜解析結果

棋譜解析結果

開始日時:2021/05/04 9:00:00
終了日時:2021/05/05 17:25:00
棋戦:名人戦
場所:愛知県名古屋「亀岳林 万松寺」
持ち時間:9時間
消費時間:94▲506△399
手合割:平手
先手:斎藤慎太郎 八段
後手:渡辺明 名人
戦型:矢倉

 相矢倉。先手斎藤八段が急戦を仕掛けて若干先行するも形勢互角のまま2日目を迎える。長く形勢互角の局面が続いたが、その後形勢が後手に傾くと一気に勝勢を築く。第一局はそこから後手が決めきれず先手が粘りに粘って最後に逆転したが、本局は後手はほぼソフト推奨手を選んで行き評価値の変動もあまりなく危なげなく終局を迎えた。

局面図

51手目▲4五歩

 図は△6五歩▲5七銀に対して50手目△6四角と角を覗いた局面。先手が急戦矢倉を仕掛けて左銀を繰り出した展開。この局面では先手+95形勢互角ながらも本局のなかで最も先手よりに評価値が振れた局面。ここでのソフト読み筋は▲5五歩打△6三銀(62)▲4五歩(46)△同歩(44)▲同桂(37)△7五歩(74)▲2四歩(25)△同歩(23)▲4六銀(57)△4四銀(33)▲3五歩(36)△8六歩打。
 本譜はここで51手目▲4五歩と指しソフト評価値は+-0で完全に形勢互角となった。

61手目▲2五歩

 図は2日目に入り先手の▲2四歩の仕掛けに60手目△2四同歩と応じたところ。ここでのソフト評価値は後手+10形勢互角。ソフトの読み筋は▲5四歩(55)△同金(43)▲5五歩打△5三金(54)▲6六歩(67)△7六歩(75)▲6五歩(66)△7五角(64)。
 本譜は61手目▲2五歩と継ぎ歩の攻撃を選んだが評価値は後手+147となり形勢互角ながらも本局で初めて評価値が後手側に振れた。

65手目▲4六銀

 ▲5四歩に64手目△5四同銀と歩を取り返した局面。ソフト評価値は後手+108形勢互角。ソフト読み筋は▲5五歩打△6三銀(54)▲9七角(88)△4二銀(33)▲7五角(97)△同角(64)▲同歩(76)△3五歩(34)▲7四歩(75)△同銀(63)▲4五歩打△3六歩(35)。
 本譜は65手目▲4六銀と銀を繰り出した。この手によりソフト評価値は後手+333後手有利となり本局で初めて形勢が傾き、その後は互角に戻ることがなかった。

73手目▲7三銀

 ▲3三桂成と銀を取ったのに対して、72手目△3三同金と成桂を金で取った局面。ここでのソフト評価値は後手+667後手有利であるが、この手自体は最善手ではなく後手+997後手優勢から若干戻したところ。ここでのソフト読み筋は▲5五銀打△7七桂打▲同桂(89)△5五銀(54)▲同銀(56)△7七桂成(85)▲6四銀(55)△7八成桂(77)▲同玉(69)△7七銀打▲同角(88)△同歩成(76)。
 本譜は73手目▲7三銀と飛車取りに銀を打ったがこの手でソフト評価値は後手+1,586となり後手勝勢に大きく傾いた。

81手目▲8八同金

 80手目△8八との局面。先手が銀で飛車を取ったのに対して、後手がと金で角を取った局面。ここまでほぼソフトの読み筋どおり進んでおり、ソフト評価値は後手+1,891後手勝勢のまま。ソフト読み筋は▲7一飛打△5一歩打▲7三角打△7八と(88)▲同飛(28)△3二玉(41)▲7二飛成(71)△2三玉(32)。
 本譜は81手目▲8八同金と取ったがソフト評価値は後手+3,172後手必勝となった。

 その後も徐々に差を広げて行き、94手目△5七桂(先頭図)で先手投了となった。投了図以下は▲7八玉(69)△5八飛打▲6八飛打△同飛成(58)▲同玉(78)△6九飛打▲7八玉(68)△7七歩打▲同金(88)△8九銀打▲8八玉(78)△6八飛成(69)▲7八飛打△7七桂成(85)▲9七玉(88)△8七成桂(77)▲同玉(97)△7八龍(68)▲9七玉(87)△8七飛打まで。

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