渡辺明名人に斎藤慎太郎八段が挑戦する第79期名人戦七番勝負第1局が、4月7・8日(水・木)に東京都文京区「ホテル椿山荘東京」にて行われ、斎藤八段が179手で渡辺名人に勝ち、初戦を制しました。
※日本将棋連盟WEBページより引用
棋譜解析結果
開始日時:2021/04/07 9:00:00
終了日時:2021/04/08 22:01:00
棋戦:名人戦
場所:東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
持ち時間:9時間
消費時間:179▲539△539
手合割:平手
先手:斎藤慎太郎 八段
後手:渡辺 明 名人
戦型:矢倉
相矢倉。先手斎藤八段が早囲いから土居矢倉に組んだのに対して、後手渡辺名人は銀矢倉から穴熊へ。長い駒組と中盤戦から何度か千日手模様になるも先手が打開。先手の仕掛けに対して後手が反撃。固い陣形もあり後手有利~後手優勢に。何度か互角近くに戻すも後手勝勢から必勝形を築く。ただし、人間的には難しい局面が続いていたらしく評価値は大きく変動するも後手必勝形のまま終盤へ。先手の粘りがみのり最後に逆転し先手が先勝した。
局面図
80手目△4五同銀
△3六歩と桂取りに対して79手目▲4五桂と桂馬を跳ねた局面。評価値は後手+323で後手有利と本局で初めて形勢が傾いたところ。ソフト読み筋は△4四歩打▲3三歩打△3一金(32)▲3五銀(46)△同銀(34)▲同角(68)△4五歩(44)。
本譜は80手目△4五同銀と銀桂交換に進んだ。評価値は後手+20と形勢互角に戻った。
95手目▲6九角
8六の地点で後手から角銀交換したあと、94手目△8五歩と継ぎ歩をした局面。評価値は後手+244で形勢互角ながらやや後手に傾いている局面。ソフトの読み筋は▲同歩(86)△5八銀打▲3三歩打△同銀(22)▲3四歩打△2二銀(33)▲3六角打。
本譜はここで、95手目▲6九角。この手は意表をつく一手で人間的には局面を複雑化して劣勢を挽回する手と評価が高かったようだが、ソフトの評価値は後手+1,014と一気に後手優勢に傾いた。ソフト的には現局面はそれほど劣勢ではないところをこの手で一気に劣勢にしたという感じ。
142手目△2三同金
141手目▲2三同歩成と2三の地点に桂を打ち込んだあと歩を成り込んだ局面。ずっと大差で後手が優勢であるが評価値は激しく変動していて人間的には難しい局面が続いている様子。ここでも、人間的には先手が粘りに粘ってかなり追い上げてきたようだが、ソフト的には後手+3,351で後手必勝形。本局で評価値がもっとも後手に振れた局面。ソフト読み筋は△7五桂打▲7七玉(67)△2三金(32)▲3五桂打△2二歩打▲7六銀打△6八香打▲2三桂成(35)△同歩(22)▲2二歩打△同玉(11)▲3三歩打△同桂(21)▲4四銀(45)△4三歩打▲7二金打△6九香成(68)▲同銀(58)△8五桂打▲同銀(76)△同桂(73)▲7六玉(77)△4九角打。
本譜は142手目△2三同金とと金をはらい、ソフト評価値は後手+1,743と若干さがったがまだ、後手勝勢であった。
158手目△2六歩
図は157手目▲2九飛と先手が馬、成香の両取をかけたところ。ここでも評価値は後手+2,066とまだまだ後手勝勢の局面。ソフト読み筋は△7八成香(79)▲2四飛(29)△2二歩打▲4四角打△3三歩打▲3二金打△3一銀打▲同金(32)△3八銀打▲5九銀(48)△3一飛(81)▲2三歩打△同歩(22)▲同飛成(24)△2二歩打と馬を見捨てて挟撃体勢を築く順を推奨。
本譜は158手目△2六歩と馬を守る順を選んだがソフト評価値は先手+855となり本局で初めて先手に局面が傾き、先手優勢となり一気に逆転した。
164手目△3八と
図は▲3四金と手厚く馬に当て、△1五馬と馬を交わした手に162手目▲2三歩と歩を垂らした局面。この数手で局面はさらに先手に傾き現局面での評価値は先手+1,590となり先手勝勢。ここでのソフト評価値は△6五桂打▲6九飛(79)△3三桂(21)▲2四香打△2一歩打▲4四銀(45)△4五桂(33)▲6五歩(66)△3八と(27)。
本譜はここで△3八と指したがソフト評価©地は先手+4,146となり先手必勝となった。
その後もソフト評価値はかなり変動したが、先手がリードしたまま179手目▲2二歩成(先頭図)で後手投了となった。投了図以下は△同銀(31)▲同香成(24)△同玉(11)▲2三銀打△1一玉(22)▲1二銀成(23)△同玉(11)▲2四桂打△2二玉(12)▲2三歩打△1一玉(22)▲1二香打で即詰み。
コメント