第33期竜王戦七番勝負第3局

将棋

 豊島将之竜王に羽生善治九段が挑戦する第33期竜王戦七番勝負第3局が、11月7・8日(土・日)に、京都府京都市「総本山仁和寺」にて行われ、豊島竜王が172手で羽生九段に勝ち、2勝1敗としました。
※日本将棋連盟WEBページより引用

棋譜解析結果

開始日時:2020/11/07 09:00
終了日時:2020/11/08 19:51
棋戦:第33期竜王戦七番勝負 第3局
戦型:相掛かり
持ち時間:各8時間
消費時間:172▲479△478
場所:京都・総本山仁和寺
先手:羽生善治九段
後手:豊島将之竜王

 相がかり模様で開始するも先手が飛車先の歩交換を保留していきなり力戦系へ。48手目△9五歩と仕掛けた局面で先手が封じる。その後も延々と互角の局面が続いたあと100手を超えたあたりで後手優勢となる。その後、先手が巻き返し先手勝勢となったが、一手ばったりで大逆転となった。最終盤の逆転劇(頓死)は中継見てた人はソフト評価値みてるので一斉に悲鳴をあげたんだけど、その時点で先手優勢ってのは人間は誰も認識できない局面のようです。他の棋戦も含めて最近プロ棋士の皆さんは、将棋は難しいものなのでソフト評価値をみてミスと言わないでとか逆転と言わないでとか言ってるけど、ソフト評価値がわかる環境ではしかたがないよね。人間の能力は無限だし、それを受けとめることでより高みを目指して欲しいものです。

局面図

114手目 △7四飛車

 113手目▲8五香の図。ここは、長く互角状態から後手有利となり前半戦でもっとも後手に傾いた局面。ソフト評価値は後手+1244後手優勢。ソフト読み筋は△6五銀(64)▲8四香(85)△6六銀(65)。本譜は△7四飛と飛車をかわした。ソフト評価値は後手+367後手有利と大きく迫ってきた。

118手目 △2七歩成

数手進んで117手目▲7五歩と歩を突いた局面。この時点でソフト評価値は後手+745後手有利を維持。ソフト読み筋は△同銀(64)▲7三馬(91)△6六角(44)に対して本譜は△2七歩成。この一手でソフト評価値は先手+87。ここで形勢互角に戻った。

124手目 △3五桂

図は123手目▲7四歩と飛車をとった局面。ソフト評価値は先手+164でまだ形勢互角。ソフト読み筋は△2六歩打▲同飛(36)△同角(44)に対いして本譜は124手目△3五桂。少し形勢が傾きソフト評価値は先手+303となり本局で初めて先手有利となった

134手目 △6六角

図は133手目▲3六同歩と後手が飛車を取った銀を取り返したところ。評価値は先手+696と先手有利のままも徐々に先手がリードを広げている局面。ここでのソフト読み筋は△6九飛打に対して本譜は134手目△6六角。ソフト評価値は先手+943先手優勢とリードがさらに広がった。

145手目 ▲6八桂

図は144手目△7五歩と先手玉の退路に歩を垂らした局面。ここまでは先手が着々とリードを広げてソフト評価値は先手+2437先手勝勢。本局で一番先手がリードした局面。ソフト読み筋は▲6五銀(66)△6九龍(49)▲6八歩打だが本譜は145手目▲6八桂。評価値は先手+977先手優勢と少し差が縮まったがまだ先手がリードしている。

163手目 ▲5三銀

これが問題の局面。162手目△4二歩と後手が詰めろを受けたところ。この局面でのソフト評価値は先手+1380先手優勢。ソフトの読み筋は▲9四角打△8三歩打▲同香成(85)△8六歩打▲7五銀(66)△6三銀打▲7七玉(78)という難しい順。ここで本譜は163手目▲5三銀。この手で評価値は後手+3872で後手必勝と一手で大逆転となった。
アベマTVで観戦していた羽生ファンはここで悲鳴を上げた局面。その後の検討では、この局面で▲9四角以外は何を指しても後手が良いようであり、この▲9四角は人間には誰も発見できない手のようです。本局面自体が人間的には後手優勢ってことらしいです。最近はプロ棋士はこぞって、ソフト読み筋以外を悪手とか逆転とか言わないでと言ってるけど、観戦者は正解が知りたいわけでこの動きは収まらんと思います。

 これ以降は△同歩の局面で後手に銀が入ったので先手玉に詰みが発生してしまったが先手は▲同歩成と指して数手進んだところの172手で投了となりました。

 自分も羽生ファンだしとても残念な一局でした。この数日前の女流王将戦の最終局も室谷さんの初タイトルまで少しの絶対優勢の局面で一手バッタリのミスが出て辛かったのに比べればまあ難解な局面ということで仕方ないですね。

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