永瀬拓矢王座に久保利明九段が挑戦する第68期王座戦五番勝負は、第5局が10月14日(水)に山梨県甲府市の「常磐ホテル」で行われ、永瀬王座が久保九段を110手で破り、王座を防衛しました。
※日本将棋連盟WEBページより引用
棋譜解析結果
開始日時:2020/10/14 09:00
終了日時:2020/10/14 20:17
棋戦:第68期王座戦五番勝負 第5局
戦型:ゴキゲン中飛車
持ち時間:各5時間
消費時間:110▲300△294
場所:山梨・常磐ホテル
先手:久保利明九段
後手:永瀬拓矢王座
先手中飛車の序盤にいきなり先手番の久保九段が意表をつく研究の?一手を繰り出し未知の局面に突入。ところがその後は少しづつ後手の永瀬王座が良くなってきて結局短手数で後手が押し切った。番勝負のフルセット最終局にしてはあっけない幕切れとなってしまった。
局面図
13手目 ▲7五歩
図は13手目▲7五歩を指したところ。この手が前例になく意表を突く一手。ただ、評価値は後手+137とまだまだ互角の範囲ではあるがやや後手に振れている。ソフトの読み筋は△6四歩(63)▲3八銀(39)△6三銀(62)▲3九玉(48)△8四歩(83)▲2八玉(39)△8五歩(84)▲5六飛(58)△5二金(61)▲7六飛(56)△6五歩(64)▲6八銀(79)△5四歩(53)▲5七銀(68)△5五歩(54)▲4六銀(57)△8四飛(82)▲9六歩(97)△5四銀(63)▲7七桂(89)△6三金(52)▲5八金(69)△9四歩(93)▲9七角(88)△8二飛(84)▲5七銀(46)△4四角(22)▲4六歩(47)△5三銀(42)。
本譜はその後は△5四歩▲同歩と進んだ。
19手目 ▲3八玉
図は18手目△4五角打の局面。後手から角交換をした直後に後手が角を打った局面。後手から馬を作れる局面だがここでの評価値は後手+36で形勢互角。ここでのソフト読み筋は▲6六角打△3三桂(21)▲6八金(69)△2七角成(45)▲3八金(49)△4五馬(27)▲3六歩(37)△5六歩打▲4六歩(47)△同馬(45)▲3七桂(29)△5二金(61)▲4七金(38)△1三馬(46)▲4五歩打。6筋を受けて2筋に馬を作らせて押し戻す順。
本譜は19手目▲3八玉と6筋に馬を作らせる順を選んだが、評価値は後手+351と後手有利に傾いた。20手未満で形勢に差が付く(一方が+300点以上となる)のは今年度のタイトル戦では初めてと思われます。本局はここからは後手が差を広げていき一方的な展開となった。
53手目 ▲6五桂
図は52手目△1五銀の局面。先手が角で1七の歩を払ったのに対して後手が1五の香車を取った局面。ここでの評価値は後手+707ですでに後手有利から後手優勢。ここでの読み筋は▲5三角成(17)△4二銀(51)▲5四馬(53)△4三香打▲5五角(46)△5七歩打▲4八金(58)△6七歩打▲7九銀(88)△8九飛打▲7八銀(79)△9九飛成(89)▲6五桂(77)△7九龍(99)▲6七銀(78)△3三金(22)▲5六銀(67)△4四香打▲3六歩(37)△1三香(11)▲7二歩打△同飛(92)▲9一角成(55)△2二玉(32)▲8一馬(91)とまずは先手の2枚角を活用する順。
本譜はここで53手目▲6五桂。この手は負けを早めてしまったようで、ソフトの評価値は後手+1546と後手勝勢となった。
この後、後手も粘ったがじりじりと形勢の差が広がっていき110手目△4八桂成で先手投了となった。先頭の図面は投了図でここからは▲同金(49)△同銀成(57)▲同玉(39)△4七金打▲3九玉(48)△3八角成(29)までで詰みとなる。
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