第61期王位戦七番勝負第1局

将棋

 木村一基王位に藤井聡太七段が挑戦する第61期王位戦七番勝負第1局が、7月1・2日(水・木)に、愛知県豊橋市「ホテルアークリッシュ豊橋」にて行われ、藤井七段が95手で木村王位に勝ちました。
※日本将棋連盟WEBページより引用

棋譜解析結果

棋戦:第61期王位戦七番勝負 第1局
戦型:角換わり腰掛け銀
持ち時間:各8時間
消費時間:95▲429△450
場所:愛知・ホテルアークリッシュ豊橋
手合割:平手  
先手:藤井聡太七段
後手:木村一基王位

 封じ手の53手目▲7三歩成の局面ではすでに先手が良くそのままリードを広げていく藤井聡太七段の完勝譜と言われている。Apery_WCSC28の10秒(2千万手程度の読み)での棋譜解析結果ではその後に逆転している局面があるように見えるが、藤井聡太七段の将棋はソフトに深く読ませた場合には実はかなり藤井側が良いということがあるらしい。以下、ポイントとなる局面を10分程度(約10億手)読ませて形勢の動きを解析してみた。

局面図

38手目△4四歩

 角換わり腰掛け銀の新しい先後同型の形。ABEMAの評価も50%になってたけど、ここは互角のようです。

41手目▲4五同銀

先後同型の局面から▲4五歩とすぐに仕掛けた。41手目、ソフトの読み筋は▲4五同桂だが本譜は▲4五同銀。何故か評価値は+40から+125と若干良くなった。

42手目△5二玉

ソフトの読み筋は△5五銀であったが本譜は△5二玉。先手+125から+208とさらに良くなる。

43手目▲2四歩

ソフト読み筋▲5四銀に対して本譜は▲2四歩。何故か評価値は先手+208から+298に。

45手目▲5四銀

ソフト読み筋▲7五歩に対して本譜は▲5四銀。評価値は先手+295から+190に若干下がった。

その後ソフト読み筋どおり進み49手目▲7五歩の局面。先手+214。

50手目△4五銀

49手目▲7五歩(前図)でのソフト読み筋△6三銀に対して本譜は△4五銀。評価値は先手+214から+536に変化してここで先手有利になった。封じ手前ではまずは△4五銀が良くなったもよう。

52手目△9二角

51手目7四歩の局面でソフト読み筋△4七歩に対して本譜は△9二角。評価値は先手+454から+692へ。この手△9二角もあまり良くないのかも

その後ソフト読み筋どおり▲7三歩成△2九角成(封じ手)▲6二と△4三玉と進んだ局面で先手+785。

57手目▲4四歩

56手目△4三玉の局面(前図)でソフト推奨手▲4六歩に対して本譜は▲4四歩。評価値は+785から+392まで下がった。先手▲4四歩はあまり良くなかったもよう。

前図からソフト読み筋どおり△4四同玉▲5二とと指した局面。評価値は先手+430。

60手目△3九馬

59手目▲5二との局面(前図)でのソフト読み筋△4七歩に対して本譜は△3九馬。評価値は先手+430から先手+773に。後手△3九馬は良くなかったもよう。

61手目▲5三銀

60手目△3九馬の局面(前図)でのソフト読み筋▲3八金に対して本譜は▲5三銀。評価値は先手+773から+290へ下がった。ぎりぎり先手有利は保っているが、先手▲5三銀は良くなかったもよう。ただし、この局面のソフト評価値は大きく変動して安定せず非常に難解な局面のようです。

前図でのソフト読み筋どおり62手目△3三玉。この時のソフト評価値は先手+957で先手優勢。となると61手目▲5三銀も悪くなかったのかも。

引き続き前図でのソフト読み筋どおり63手目▲4四桂。先手評価値は+442。

前図でのソフト読み筋通り64手目△2二金。先手評価値は+414。

 64手目△2二金(前図)時点でのソフト読み筋は ▲3二金打△同金(22)▲同桂成(44)△同玉(33)▲4二と(52)△2二玉(32)▲2三歩打△1三玉(22)▲3二と(42)△3一金打▲2二角打△同金(31)▲同歩成(23)△3一桂打▲1一と(22)△2五歩(24)▲3八金打△同馬(39)▲同金(48)△4九飛打▲2二角打△2四玉(13)▲2一と(11)△2三金打▲4四角成(22)△5六桂打▲同歩(57)△同銀(45)▲3五金打△1三玉(24)▲6七金(78)△同銀(56)▲同玉(68)△5六銀打

78手目△3一桂の局面。61手目▲53銀の局面からはソフト読み筋どおり17手進んだ。61手目付近では評価値は結構振れたが平均すると先手+300点から先手+400付近のギリギリ先手有利であったがこの局面では先手+842先手優勢

 お互いに最善を尽くせば終局には近づくので評価値は徐々に大きくなっていくものだと想定されるけど、この将棋もそんな感じです。

79手目▲1五歩

78手目△3一桂の局面(前図)でのソフト読み筋▲1一とに対して本譜は79手目▲1五歩。評価値は+842だったのがなんと先手+1498でほぼ先手勝勢に。

 まあ最終盤ならありうるかもしれないけど、ソフト推奨手と異なる手を指して、評価値を上回るってのは凄すぎるような。

 1手10秒(2千万手の読み)での棋譜解析じゃよく分からないけど、ほぼ最善で徐々に先手のリードを拡大してるように見えます。後手もあんまり悪手ないけど、先手はソフトが10億手読んだ推奨手より良い手を指してるように見えることもあります。人間ならこの局面だと大体▲1一とより▲1五歩を選ぶような気がしないでもないけど。。。

82手目△2三桂

81手目▲2六金の局面でのソフト読み筋△5六桂に対して本譜は82手目△2三桂。評価値は先手+1644から+6586になってしまいました。敗着ですかね。まあ、すでに先手勝勢でしたが。

 81手目▲2六金の局面でのソフト読み筋は以下でした。

  △5六桂打▲7九玉(68)△1七馬(39)▲1五金(26)△1四歩打▲1七香(19)△1九飛打▲4九歩打△1五歩(14)▲3一と(32)△2二玉(13)▲2一と(31)△同飛(81)▲4四銀成(53)△3二銀打▲4五成銀(44)△6九金打▲8八玉(79)△7六歩打▲3四成銀(45)△7七歩成(76)▲同桂(89)△2三銀打▲同成銀(34)△同銀(32)▲4四角打△3三歩打▲4五桂打△4二銀打▲5三銀打△1三玉(22)▲4二銀(53)△6八桂成(56)▲3三桂成(45)△7八成桂(68)▲同玉(88)△6八金打▲8八玉(78)△7九角打

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